文系1(法学,経済)

文系とは何だろう?

文系の学部には色々とあります。代表する学部が,法学部,経済学部,文学部です。東大でも,文1は法学部,文2は経済学部,文3は文学部に進学するという区分になっています。各学部で共通するキーワードを探すと「人間」という言葉が出てきます。人間個人の内面について考えていく分野(文学,哲学など),人間同士の間の関係(コミュニケーション)について考えていく分野(社会学,語学,経営学など),社会全体のルールや繁栄について考えていく分野(法学,政治学,経済学など)と大別して3つに分けることができます。理系のように真の解は1つという世界ではなく,様々な解が存在する世界です。


名古屋大学が各学部の過去3年間の就職先(学部+大学院)のベストテンを大学案内に掲載しています。下の表は平成27年度版からの抜粋(古くて申し訳ありません・・でも,大きな変更はないみたいです。)です。職域が決まらないとはいえ,結構な違いはあります。経済学部は金融関係が多いですし,文学部は教員が多いことがわかります。ただし,公務員が多いのは名古屋大学だからだという点もありますから,そこは忘れないでください。面白いのは,理系の理学部,工学部,農学部の就職先と似たような傾向がある点です。文学部は理学部(教員が多いし結構ばらばら),法学部は農学部(公務員が多い),経済学部は工学部(メーカーがかなり多い)です。この点では,文系でも,就職先への影響はあるのかもしれませんね!!

  法学部 経済学部 文学部

1

名古屋市職員(12)

名古屋市職員(23)

愛知県職員(21)

2

愛知県職員(7) 

 三菱東京UFJ銀行(21)

愛知県教員(18) 

3

愛知県教員(6)

デンソー(12)

名古屋市職員(14)

4

岐阜県教員(3)

東京海上(10)

岐阜県教員(9)

5

岐阜県職員(3)

 アイシン精機(9)

名古屋大学職員(6) 

6

さなる(3)

十六銀行(9)

岐阜県職員(4)

 7

 トヨタ自動車(3)

 大垣共立銀行(8)

ニトリ(4) 

まずは,法学部と経済学部について見ていきます。

法学部

 欧米諸国の「法学部」には2種類の系統があります。イギリスとアメリカは,裁判官・弁護士などの専門的法律家を養成する機関であり,ドイツ・フランスなどのヨーロッパ大陸諸国は法律家養成だけでなく,もっと一般的な教育機関として法学・政治学の教育を行っています。日本の「法学部」は,ドイツ・フランスの法学部の流れを継いでいます。ですから,出身者は司法だけでなく,政治・行政・経済の多くの分野で活躍しています。名古屋大学法学部の就職先を見てもわかると思います。ただし,授業科目としては,○○法という授業名がかなりを占めます。ただし,「経済法」という科目名でも,法律だけではなく経済学についても学んでいくことになります。国立12大学の中で法学部として独立しているのは名古屋大学と金沢大学(少し微妙ですが・・)だけです。あとは,人文学部・経済学部に含まれています。ただし,信州大学と富山大学は,経済学部の中に入っているだけに純粋な法学部とは少し色合いが違うと思います。細かな違いについては,実際にHPで確認してください。
国立12大学以外の私立大学では,法学部が設置されているところがあります。でも,政策学部とかもっと細かい設置形態になっていることが多いようです。私学の方が文系の人数が多いので分けているという面もあると思いますが・・本当は一つであるべき・・(国立大学だと,人文学部に入れてしまっている事もありますから・・) だと思いますがね。色々な意味で,国立12大学以外の大学の方がバリエーションが多いので,選択が難しい分野でもあります。(だから,国公立の方が楽ですよ! って,言ってはいけないですね。)


LinkIcon名古屋大学法学部
LinkIcon静岡大学人文学部法学科
LinkIcon三重大学人文学部法律経済学科法政コース
LinkIcon金沢大学人間社会学域法学類
LinkIcon信州大学経法学部総合法律学科
LinkIcon富山大学経済学部経営法学科

【国立12大学以外】
LinkIcon愛知大学法学部
LinkIcon中京大学法学部
LinkIcon中京大学総合政策学部
LinkIcon南山大学法学部
LinkIcon南山大学総合政策学部
LinkIcon名城大学法学部

経済学部

 「経済学部」は,基本的には経済学科と経営学科で構成されています。経済学と経営学の違いはわかりますか? もちろん,利益の追求という点では同じかもしれませんが,「対象」と「手法」の違いがあります。「対象」の違いで見ると,経済学は社会全体を,経営学は1組織(企業)を対象とします。たとえば,日本の経済状況がどのように推移していくのかを考えていくのが「経済学」であり,トヨタ自動車がどうなっていくのかを考えていくのかが「経営学」です。(悪い言い方をすれば,経営学にとっては日本の景気がどうなろうと・・うちの会社が儲かれば良いのだ・・という部分があると言うことです。でも,大事ですよね・・) 「手法」から見ていくと,経済学はあくまで数学をベースとして社会分析を行う学問です。数3の微分積分はもちろん,統計学もかなり深く学びます。(この点では理系の人も,選択肢と考えて良いかもしれません。慶応大学経済学部のB方式は英語と地歴ですが,A方式は数学と英語です。)経済学の基礎には,マクロ経済学とミクロ経済学という基本分野があります。視点の違いという点では,経済学と経営学の対象の違いと同じに見えるかもしれませんが,マクロ経済学では不況や失業を前提にしているのに対して,ミクロ経済学では完全雇用・市場均衡を前提としています。「経営学」は,ミクロ経済学をベースにして,企業論・会計学・行動学など様々な分野を融合させた分野です。ですから,経済学は各大学の授業内容に大きな違いは出てきませんが,経営学はそれぞれの大学の特色が出てきます。経営学を目指したい人は,その点に注意してください。ただし,経済学科でも経営学の授業は受けますし,経営学科でも経済学の授業は受けることになります。ですから,基礎的な学習に関しては同じだと言えるかと思います。また,最近の経済学部では「金融学」の重要性も増してきています。(東京大学では経済学部の中に「金融学科」を設営しています。) 上と同じ事を言いますが・・色々な意味で,国立12大学以外の大学の方がバリエーションが多いので,選択が難しい分野でもあります。(だから,国公立の方が楽ですよ! って,言ってはいけないですね。) 少なくとも,私学は経済と経営は違う学部になっていることが普通です。どちらが向いているのかは,難しいです。最初に書いたのは国立大学の考え方です。私学については・・実際に話を聞いて決めるのが一番だと思います。(逆に,文系だから・・受かった方に進学して・・その中で自分の途を探していくという手もあるのだろうと思っては居ます・・)


LinkIcon名古屋大学経済学部
LinkIcon静岡大学人文学部経済学科
LinkIcon三重大学人文学部法律経済学科現代経済コース
LinkIcon金沢大学人間社会学域経済学類
LinkIcon信州大学経法学部応用経済学科
LinkIcon富山大学経済学部経済学科
LinkIcon富山大学経済学部経営学科

【国立12大学以外】
LinkIcon名古屋市立大学経済学部
LinkIcon愛知大学経済学部
LinkIcon愛知大学経営学部
LinkIcon中京大学経済学部
LinkIcon中京大学経営学部
LinkIcon南山大学経済学部
LinkIcon南山大学経営学部
LinkIcon名城大学経済学部
LinkIcon名城大学経営学部

更新情報

2017.06.17
思い切って,私学も加えたTop19+Tec12の学科紹介サイトに変身しました。中部地区(私学は愛知のみですが・・)の中心となる大学の情報をきちんと整理したサイトになっています。是非,ご利用ください。