工学系

工学系(大学院進学の必要性)

国立大学の中で,最も定員が多いのが工学部です。東京大学は1学年3000人ですが,1000人が工学部に所属します。昔の工学部は,学部卒で就職する方が多かったのですが,最近は大学院(修士課程)に進学する人が多くなっています。大学院というと理学部をイメージする人が多いと思います。確かに,東大の理学部は大学院進学率は88%ですし,学部の定員よりも大学院の定員の方が多いという構成になっています。最近の工学部の大学院進学率がどんどん上がってきています。名古屋大学工学部は実に85%が大学院に進学しています。
 学部・学科選びのトップページで述べたように,理系の場合は「専門職」で就職することが多い(というよりも,それを希望する学生が多い)わけですが,現在の科学技術の進歩が早いため学部の4年間では教え切れていないのが現状です。卒研生は,先生の言われたように実験を進めていくことはできますが,うまくいかなかったときの対応は自分ではできない状態です。修士になると,さすがに経験を積んでいますから,自分で対応策を考えてブレークスルーする力を持っています。企業にとっても,専門職としてとる以上,自ら考えてどんどん前進させていく人間が必要です。大企業の場合,学部卒だと「営業」か「ライン」に回されてしまいます。皆さんも,せっかく就職するのだから,新技術開発や企画できる立場になりたいと思いませんか?
 博士課程まで進むと,逆に専門性が強くなりすぎるので,企業への就職は多少難しくなります。(とは言っても,それなりにあるのですが・・ 博士課程まで進むと,将来は大学教授という夢を持つ人が多いです。でも,その道はなかなか厳しいですよ!) 6年間は長いですが,是非,大学院に進学するつもりで工学部に来てください。


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工学系の分類

理学部に比べると,工学部(工学系)は学科の名称だけでは,中身がわからない場合があります。都市社会,社会基盤,建築・環境土木,環境デザイン,いずれも同じ内容をやっている学科ですが,これだけ名称が違います。基本的には,高校生のための名称ではなく,会社から見てわかりやすい名称をとることが多いせいなのかもしれません。ここでは,工学の各分野を「高校の科目」に基づいて分類してみます。(大学によって,最後の土木・建築系はないところが沢山ありますのでご注意ください!)

 工学部は,高校の化学をさらに深めていく「化学・材料系」,高校の物理をさらに深めていく「物理系」,高校の数学をさらに深めていく「情報・数学系」,そして「土木・建築系」の4分野に分類することができます。最後の,「土木・建築系」は強いて言えば高校の物理をさらに深めた分野ということになりますが,実際には高校時代のどの科目が好きかには関係なく,都市や建物をデザインしていきたいという希望をもって入学してくる学生が多いのが特色です。工学部の中でどの学科にするか悩んでいる人は,まず都市・建物造りに興味があるかどうかを考えてみると良いです。興味があるのであれば「土木・建築系」を選べば良いですし,興味がないのであれば,化学・物理・数学でどれが好きかで考えていくと良いと思います。もちろん,化学が好きだけれども物理系の機械工学科に行く,という途もありです。


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工学部で得られる資格について

説明会ではよく取得可能な資格について聞かれることがあります。工学系(特に国公立大学)で重要な資格は,第1級建築士,技術士くらいのものです。技術士は,法律では「科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画,研究,設計,分析,試験,評価またはこれらに関する指導の業務を行う者」と定義されています。わかりやすく言い換えると,技術士は「国が認定した技術コンサルタントの能力をもつもの」ということです。JABEEという言葉を聞いたことがあると思います。JABEEは日本技術者教育認定機構のことで,そこで認定を受けた大学(学科)は技術士一次試験が免除になります。極論ですが,技術士が重要な意味を持つのは土木(建設)業界で,他の分野ではそれほど重要ではないといえます。あくまで1つの例ですが,ある建設事業の入札がある場合,金額はもちろんですが,その会社の技術士の数も選定のファクターに入ります。ですから,土木系の場合,非常に重要な資格といえるわけです。第1級建築士に関しては,説明の必要もないと思います。(ただし,建築士も実務経験を2年間積んだあとで受験することができる・・ということは忘れないでください。医師や薬剤師のように卒業が条件で受験できるという訳ではありません。)
 正直なところ,それ以外の資格は企業への就職ではそれほど大きな意味はありません。一番大切な資格は,修士号です。その点は忘れないでください。


更新情報

2013.03.20
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